頭蓋咽頭腫の手術後、尿崩症と診断された
最初に頭蓋咽頭腫の手術を受けたあと、僕は尿崩症と診断されました。
術後はICUに1泊、その後HCUに5泊する入院生活でした。
手術直後で体も思うように動かせない中、
一番つらかった症状は異常なほどの喉の渇きでした。
当時は尿管カテーテルが入っていたため、
自分では尿意を感じることがありません。
しかし看護師さんからは、
「1日に6リットルくらい尿が出ていますよ」
と説明を受けました。
そして同時に、
「喉が乾いたら、遠慮せず水を飲んでください」
とも言われました。
術後すぐは、自分がどれだけ水を飲んでいるか分からなかった
HCUにいた頃は、
実際に1日どれくらい水を飲んでいたのか、正確には覚えていません。
ただ、尿量の話を聞く限り、
おそらく尿と同じくらいの量を飲んでいたのではないかと思います。
とにかく喉が渇き、
水を飲んでも飲んでも、すぐにまた渇く。
そんな感覚が続いていました。
一般病棟に移ってから始まった「飲水・尿量管理」
一般病棟に移ると、
水分管理を自分で行うように指示されました。
飲水チェック表
- 何時に
- どれくらいの量を飲んだか
これを毎回記録します。
尿量の自己測定
トイレには400mlの紙コップが用意され、
- 尿を紙コップに入れる
- 専用の機械で尿量を測定する
という方法でした。
この頃は、
尿崩症の薬(デスモプレシン・ミニリンメルト)はまだ処方されていません。

そのため、
- 1時間に1回はトイレに行く
- 毎回400ml以上の尿が出る
- 喉の渇きも常に強い
という状態でした。
なぜすぐに薬を使わなかったのか
「こんなに尿が出ているのに、なぜすぐ薬を使わないのか?」
当時はそう思いましたが、
理由を聞いて納得しました。
尿崩症の治療薬は、
- 1日の尿量
- 時間帯ごとの変化
- 個人差
によって、
使う量やタイミングが大きく異なるそうです。
また、術後は
抗利尿ホルモン(ADH/バソプレシン)が
一時的に不安定になることもあるため、
入院期間(約2週間)で
体の状態を見ながら、
薬の量や使用タイミングを判断する流れでした。
退院後に感じた、水分管理の難しさ
退院してからは、
水分摂取を自分でコントロールする生活が始まりました。
最初は正直、かなり戸惑いました。
僕の仕事はテニスコーチです。
- レッスン中は汗をかく
- 水分補給は欠かせない
- でも、飲み過ぎても体に負担がかかる
「飲まなすぎてもダメ、飲みすぎてもダメ」
このバランスを取るのが、とても難しかったです。
しばらくは、
- 水を飲む量
- トイレの回数
- 体調の変化
を常に気にしながら生活していました。
尿崩症とお酒との付き合い方
僕はお酒が好きで、
尿崩症と診断されてからも、量を調整しながら楽しんでいます。
一般的にお酒は利尿作用があると言われていますが、
薬を使用している状態では、
健康だった頃と比べると
尿量は少ないと感じることが多いです。
もちろん体調や薬の効き方によって違いはありますが、
自分の体の反応を知ることが大切だと感じています。
病気があっても、できる範囲で生活を楽しむ

尿崩症という病気と付き合う中で、
生活の工夫や制限は確かに増えました。
それでも僕は、
- 病気だからといって
- 好きなことや仕事を
- すべて諦める必要はない
と思っています。
できる範囲で調整しながら、
自分のペースで生活していく。
この体験談が、
- 尿崩症と診断されたばかりの方
- 手術後の生活に不安を感じている方
の参考になれば嬉しいです。
本記事は、筆者個人の体験に基づいて記載しています。
薬の効果や使用感には個人差があり、すべての方に当てはまるものではありません。
治療内容や服薬の判断については、必ず主治医・医療機関にご相談ください。

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