尿崩症と診断されたとき、
「これで、テニスのコートに立ち続けられるのかな」
正直、そう思いました。
僕はテニスコーチを25年やっています。
体を動かして、汗をかいて、 水分補給をしながらコートの上で生きてきた人間です。
そんな僕にとって「水分管理が難しくなる」という診断は、 仕事の根幹に直結する問題でした。
この記事では、
をできるだけリアルに書きます。
尿崩症と診断されたばかりの方、 退院後の生活に不安を感じている方に、 少しでも参考になれば嬉しいです。
頭蓋咽頭腫の手術後、尿崩症と診断された
頭蓋咽頭腫の手術後に、僕は尿崩症と診断されました。
手術や入院生活の詳しい体験は別の記事で書いているので、 ここでは「退院してから」の話を中心に書いていきます。
▶ 手術と入院の体験談はこちら (「頭蓋咽頭腫の手術を2回経験した僕の入院記録」)
ただ、1つだけ入院中の話をしておくと、
術後は1日6リットルもの尿が出ていて、 飲んでも飲んでも喉が渇き続ける、という状態でした。
この症状が尿崩症だと知ったのは、少し後のことです。
入院中は飲水量と尿量を毎回記録して、 医師がそのデータをもとに薬の量やタイミングを判断する、 という流れで治療が進んでいきました。
尿崩症の薬(デスモプレシン・ミニリンメルト)が処方されるまでは、 1時間に1回トイレに行き、 毎回400ml以上の尿が出るような状態が続いていました。
▶ 尿崩症の薬を使い始めてから変わったことはこちら (「尿崩症の薬・デスモプレシンを使い始めてから変わったこと」)
退院後のリアル|テニスコーチとして仕事と尿崩症を両立するために
退院してからが、本当の意味での「両立」の始まりでした。
「飲まなすぎてもダメ、飲みすぎてもダメ」の難しさ
テニスコーチの仕事は、体を動かして汗をかく仕事です。
夏のコートは特に暑い。 汗をかけばかくほど、喉が渇く。
でも、尿崩症の場合は「渇いたから飲む」が簡単にできないんです。
理由は、水中毒(すいちゅうどく)のリスクがあるからです。
水中毒とは、水分を一度にたくさん飲みすぎることで 血液中のナトリウム濃度が薄まり、 頭痛・吐き気・意識障害などを引き起こす状態のことです。
尿崩症の薬(デスモプレシン)が効いている状態では、 尿として水分が排出されにくくなっています。
そのため、 汗をかいたからといってがぶ飲みすると、 体内に水分が溜まりすぎてしまう危険があるんです。
健康なときは「汗をかいたら水を飲む」が正解でしたが、 今は「飲む量をコントロールしながら汗をかく」が正解になりました。
これが最初は、本当に難しかったです。
レッスン中の水分補給をどう管理しているか
今の僕のやり方を正直に話すと、
このルーティンを守るようにしています。
がぶ飲みできないのは、慣れるまでつらかったです。
夏のレッスン中、コートに出ると体感温度は40度近くになることもある。 そこで水を少量ずつしか飲めない、というのは、 健康だった頃には想像もしなかった感覚でした。
朝から夜までのレッスン日をどう乗り越えるか
繁忙期には、朝から夜まで連続でレッスンが入る日があります。
正直に言うと、今の体でそれをひとりでやり切るのは無理です。
だから今は、大学生のアルバイトコーチにアシスタントに入ってもらっています。
25年コーチをやってきて、 「ひとりで全部やる」という考え方を手放すのは、簡単じゃなかったです。
でも今は、 「頼れる人を作ることも、仕事を続けるための戦略」 だと思っています。
無理して体を壊したら、コーチとして現場に立てなくなる。 それは絶対に避けたかった。
体調の波と仕事のペース配分
尿崩症や下垂体前葉機能低下症(下垂体から出るホルモンが不足する病気)があると、 体調の波が健康なときより大きくなります。
良い日と悪い日の差が、結構あるんです。
だから今は、
このペースを軸にしています。
体力を温存することが、長く続けることへの一番の近道だと 今は本気でそう思っています。
【内部リンク設置箇所】 ▶ 病気と仕事、そして将来設計について書いた記事はこちら (アンカーテキスト:「指定難病を持ちながら40代の将来設計を考えてみた」※フェーズ2で作成予定)
尿崩症とお酒の付き合い方
「お酒は飲めますか?」
同じ病気の方から、これはよく聞かれます。
僕はお酒が好きで、 診断後も量を調整しながら楽しんでいます。
一般的にお酒には利尿作用があると言われますが、 薬を使用している状態では、 健康だったころと比べると尿量が少ないと感じることが多いです。
水中毒のリスクと同じ理由で、 お酒も「飲んだ分だけ水分が排出されるとは限らない」状態になっています。
なので、
というルールを自分で作っています。
ぶっちゃけ、最初はこれもストレスでした。
でも「自分の体がどう反応するか」を知ることが 一番の管理方法だと気づいてから、 少しずつ楽になってきました。
お酒との付き合い方については、 必ず担当医に確認してから判断するようにしてください。
尿崩症と生きていくために、僕が一番大切にしていること
病気になってから、生活の工夫や制限は確かに増えました。
それでも、
「病気だからすべてを諦める」 というふうには、考えていません。
テニスコーチとして今も現場に立てていることは、 正直、最初は無理だと思っていました。
でも、ペースを変えて、 人に頼る仕組みを作って、 水分管理と向き合い続けて、 今は週に何日か、コートに立てています。
これが今の僕の「両立」のカタチです。
完璧じゃないし、 健康だったころとは違う。
それでも、続けていられる。
尿崩症と診断されたばかりの方、 退院後の生活に不安を感じている方に、 この体験談が少しでも届けばいいなと思っています。
まとめ|この記事で書いたこと
【内部リンク設置箇所】 ▶ 頭蓋咽頭腫の手術体験(入院・術後の全体像)はこちら (アンカーテキスト:「頭蓋咽頭腫の手術を2回経験した僕の入院記録」)
▶ 下垂体前葉機能低下症と診断された体験談はこちら (アンカーテキスト:「下垂体前葉機能低下症と診断されてから変わった生活のこと」)

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