「昔のように動けるだろうか?」
「若い子に混じって恥をかかないかな?」
そんな不安で、クローゼットの奥に眠るラケットを眺めたままになっていませんか。
学生時代、真っ黒に日焼けしてボールを追いかけていたあなたにとって、テニスは青春そのものだったはずです。
40代になり、仕事や育児が少し落ち着いた今こそ、もう一度コートに立つ最高のタイミングです。
私はプロテニスコーチとして25年、多くの方を指導してきましたが、実は40代からの再開は「最もテニスが進化する時期」でもあります。
二度の脳腫瘍手術を乗り越え、後遺症を抱えながら今もコートに立つ私だからこそ伝えられる、体力を筋力で補わない「物理学に基づいたテニス」の魅力。
この記事を読めば、ブランクという不安が、新しい自分に出会うための「武器」に変わるはずです。
なぜ今、40代でテニスを再開すべきなのか?
結論から申し上げます。
40代でのテニス再開は、あなたの人生の質を劇的に向上させます。
それは単なる運動不足解消にとどまりません。
体力の衰えをカバーする「物理学」の視点
40代になると、20代の頃のような「若さと勢い」に任せたプレーは難しくなります。
しかし、それは嘆くべきことではありません。
むしろ、筋力に頼らなくなることで、テニスの本質である「物理的な効率」に目を向けるチャンスなのです。
重力を利用し、骨の並びを意識する。
これだけで、若い頃よりも鋭いショットが打てるようになります。
「力まないテニス」を覚えるのに、40代という年齢はまさに最適なのです。
ストレス社会を生き抜く「心の調律」
仕事や家庭で責任ある立場にいる40代にとって、テニスは最高のメンタルケアになります。
ボールと対話し、自分の体と向き合う時間は、一種の動的な瞑想です。
私は病を経験し、体が思うように動かない時期を過ごしましたが、コートに立ち、ボールを打つ感触だけで「生きている」という実感を強く得ることができました。
テニスは、日々のストレスをコートの向こう側に打ち放してくれる、最高のパートナーです。
ブランクがあるからこそ「最強のテニス」が手に入る理由
「ブランクがあるから下手になっている」と考えるのは、今日で終わりにしましょう。
むしろ、変な癖が抜けて、新しい技術を吸収しやすい「真っ白なキャンバス」に戻ったと考えてください。
「昔の自分」を捨てる勇気が怪我を防ぐ
再開した方が陥りやすい罠は「高校時代のイメージ」で動いてしまうことです。
脳内のイメージと実際の体の動きにギャップがあると、アキレス腱や膝を痛める原因になります。
今のあなたは、あの頃よりも知識があり、落ち着きがあります。
「走って追いつく」のではなく「物理的に正しいポジションに先回りする」。
この大人の知恵こそが、怪我を防ぎ、かつ洗練されたテニスを作り上げます。
25年の指導経験から導き出した「骨と意識」の活用
私は25年間、数千人のプレーヤーを見てきました。
その中で確信したのは、テニスは「筋肉で打つのではなく、骨で打つもの」だということです。
ブランクがある方は、余計な力が抜けていることが多いため、この「骨の意識」を伝えやすい傾向にあります。
「打とう」とするのではなく「当たるべくして当たる」物理的な形を作る。
この感覚を掴むと、テニスがこれまで以上に楽で、奥深いものに感じられるはずです。
無理なくテニスを継続するための3つのステップ
では、具体的にどのように再開すれば良いのでしょうか。
25年のコーチキャリアと、闘病からの復帰経験をもとにアドバイスします。
道具選びは「体への優しさ」を最優先に
まずは、昔使っていたカチカチのラケットや、劣化して硬くなったストリングを新調しましょう。
40代の再開において、道具は「武器」であると同時に「身を守る盾」です。
衝撃吸収性の高いラケットや、体への負担が少ない柔らかいストリングを選ぶことで、テニス肘などの怪我を未然に防げます。
最新のテクノロジーは、私たちが思う以上に「楽に飛ばすこと」を助けてくれます。
筋トレよりも「脱力」を覚える
筋肉はないに越した事はないですが「テニスをするためにジムに通って筋肉をつけなきゃ」と意気込む必要はありません。
むしろ、日常生活で固まった肩甲骨や股関節を「ほぐす」ことの方が重要です。
力を入れることよりも、抜くこと。
コートに立った時、リラックスして自然体でいられるようになれば、ボールは勝手に飛んでいきます。
「頑張らないこと」を頑張る。
これが、40代からのテニスを長く楽しむ秘訣です。
良いコーチや仲間との出会いを楽しむ
一人で壁打ちをするのも良いですが、できればテニススクールなどの門を叩いてみてください。
最近のスクールは「健康志向」や「大人の学び直し」に特化したクラスが充実しています。
同じように再開した仲間と出会うことで、技術向上以上の喜びが得られるでしょう。
私も多くの生徒さんを見てきましたが、仲間と笑い合っている時が、最も上達が早いものです。
もう一度、コートで新しい自分に出会いましょう
40代からのテニスは、競い合うためのスポーツではありません。
自分自身の体と対話し、物理的な理(ことわり)を楽しみ、そして何より「自然体」の自分を取り戻すための時間です。
私は二度の大きな手術を経験し、普通に歩くことすら困難な時期がありました。
しかし、再びラケットを握った時、ボールがラケットに当たるその一瞬の感触に、言葉では言い表せない喜びを感じました。
健康な体があることも、少しの時間があることも、それは当たり前ではなく「ギフト」です。
ブランクを恐れず、今のあなただからこそできる、優雅で洗練されたテニスを始めてみませんか。
コートの上で、あなたが笑顔でボールを追いかける姿を楽しみにしています。
大丈夫、テニスはいつでもあなたを待っています。

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