※この記事は、頭蓋咽頭腫と診断された当事者(指定難病受給者)が、診断に至るまでの経緯を実体験としてまとめたものです。記載内容はあくまで個人の体験であり、医学的な診断・治療の指針ではありません。気になる症状がある方は、必ず担当医にご相談ください。
頭蓋咽頭腫の最初の症状は「見えにくさ」だった
僕はテニスコーチを25年やっています。
屋外コートで、毎日ボールを追いかけて、 生徒さんにフォームを見せて、一緒に汗をかく仕事。
「目」はテニスコーチにとって命みたいなものです。
そんな僕の目に、ある日から違和感が出始めました。
視界がかすむ。 ピントが合いにくい。 ボールの軌道が、ほんの少しだけ見づらい。
でも、痛みがあるわけじゃない。 日常生活も「なんとかこなせる」レベル。
だから最初は、疲れ目か、年齢のせいだろうと思っていました。
正直に言うと、 「まさか脳に原因がある」なんて、1ミリも考えてなかったです。
眼科で「異常なし」と言われ続けた
視界の違和感が気になって、最初に受診したのは眼科でした。
検査の結果は、
「視力に異常はありませんし、目自体にも問題はありません」
目薬を処方されて、 「しばらく様子を見てください」と言われました。
でも、症状は良くならない。
むしろ、少しずつ悪くなっていく感覚がありました。
別の眼科も受診しました。 結果は同じ。「異常なし」。
この時期が、振り返ると一番つらかったかもしれません。
「おかしいのは確かなのに、原因が分からない」
その不安って、じわじわと心を削っていくんですよね。
テニスのレッスン中も、 「見えにくいな」と感じる瞬間が増えていきました。
でも、生徒さんの前では普通に振る舞うしかない。 コーチがそんな不安を見せるわけにはいかないから。
3件目の眼科で「脳外科を受診してください」と言われた
転機になったのは、3件目の眼科でした。
検査のあと、医師からこう言われました。
「紹介状を書くので、すぐ脳外科を受診してください」
正直、意味が分からなかったです。
目が見えにくいだけなのに、なぜ脳外科?
脳と視力の関係なんて、当時の僕にはまったく知識がなかった。
ただ、医師の表情が今までの2件とは明らかに違っていて、 「これは、ただごとじゃないのかもしれない」 という空気だけは伝わってきました。
MRI検査で「脳」に原因があると分かった
脳外科では、簡単な問診のあとすぐにMRI検査を受けることになりました。
MRI(磁気共鳴画像診断)は、 強い磁力を使って体の内部を画像化する検査です。
狭い筒状の機械に入って、約30分間じっとしている。 かなり大きな作動音がずっと鳴っていて、 人生で初めての経験は、正直かなりしんどかったです。
検査後、すぐに結果説明がありました。
視界が見えにくくなっていた原因は、 脳腫瘍が視神経を圧迫していたから。
MRI画像には、 ピンポン玉ほどの白い影がはっきりと写っていました。
この瞬間の感覚は、今でも覚えています。
「え、脳腫瘍?」
頭が真っ白になる、というのは本当にある。 目の前のモニターに映っている白い影が、 自分の頭の中にあるという事実が、うまく飲み込めなかった。
「家族と一緒に大学病院へ」と言われた意味
脳外科の医師からは、こう言われました。
「大学病院に紹介状を書きます。ご家族と一緒に受診してください」
「ご家族と一緒に」。
この一言で、事の重大さをようやく実感しました。
家に帰って、妻に伝えなきゃいけない。
当時、娘はまだ2歳。
「脳に腫瘍がある」なんて、どう言えばいいのか。
テニスコーチとして、父親として、
「僕が倒れたらこの家はどうなるんだ」
という恐怖が、一気に押し寄せてきました。
結局、妻にはそのまま伝えました。
隠しても仕方がないし、 これからのことを一緒に考えなきゃいけないから。
妻の表情は、今でも忘れられません。
診断名は「頭蓋咽頭腫(ずがいいんとうしゅ)」だった
大学病院で詳しい検査を受けた結果、 腫瘍の正体は頭蓋咽頭腫(ずがいいんとうしゅ)だと分かりました。
聞いたことのない名前でした。
頭蓋咽頭腫は、脳の中心部にある下垂体(ホルモンを分泌する器官)の近くにできる腫瘍です。
特徴をざっくりまとめると、こんな感じです。
(参考:日本内分泌学会「頭蓋咽頭腫」/メディカルノート「頭蓋咽頭腫について」)
「良性」と聞いたときは、少しだけホッとしました。
でも医師からは、
「良性だからといって放っておけるものではない」
「手術が必要です」
とはっきり言われました。
この診断が、 その後の2回の手術、尿崩症、下垂体前葉機能低下症、 そして今の生活へとつながっていくことになります。
「眼科で異常なし」でも、脳が原因のケースがある
僕の場合、 視界のかすみから始まって、 眼科を3件回って、 最終的に頭蓋咽頭腫という脳腫瘍が見つかりました。
最初の症状から診断までに、数ヶ月かかっています。
もしあのとき、3件目の眼科を受診していなかったら。 脳外科への紹介状がなかったら。
今こうしてブログを書いていることも、 テニスコートに立っていることも、 なかったかもしれません。
もし今、こんな状態が続いている方がいたら。
そのときは、脳神経外科の受診も選択肢に入れてみてください。
「目の問題」だと思い込んでいたことが、 実は脳に原因があった。
僕の場合は、それが事実でした。
この診断から始まった、僕のその後の話
頭蓋咽頭腫と診断されてから、 僕は2回の手術を経験しました。
手術後、尿崩症(にょうほうしょう)と 下垂体前葉機能低下症(かすいたいぜんようきのうていかしょう) という2つの後遺症が残りました。
どちらも指定難病です。
テニスコーチとしての働き方も、 大きく変えざるを得なくなりました。
でも、今は無理をしない範囲で コートにも立てているし、 こうしてブログで自分の経験を発信することもできています。
「体が止まっても回る仕組み」を作ること。 それが、今の僕のテーマです。
それぞれの詳しい体験は、別の記事にまとめています。
▶ 2回の手術の体験談はこちら → 「【闘病記】頭蓋咽頭腫の手術を2回受けてわかったこと|入院生活・術後回復・1回目と2回目の違い」
▶ 尿崩症と仕事の両立についてはこちら → 「尿崩症と仕事・生活を両立するリアル|テニスコーチが語る退院後の水分管理と工夫」
▶ 病気を経験して変わった働き方の話はこちら → 「【病気×働き方】頭蓋咽頭腫と下垂体機能低下症で、テニスコーチを「今まで通り」続けられなくなるリスクと向き合う」
▶ 体が資本の仕事をしている40代が考えるべきこと → 「体が資本の仕事をしてる40代へ|僕が病気で倒れて気づいた”副業”という保険」

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[…] 僕が下垂体前葉機能低下症と診断された背景には、頭蓋咽頭腫という脳腫瘍の手術があります。 無理しない、僕の生き方ノート 404: ページが見つかりませんでした | 無理しない、僕の生き方ノート […]
[…] 尿崩症になった原因は、頭蓋咽頭腫という脳腫瘍でした。 無理しない、僕の生き方ノート 404: ページが見つかりませんでした | 無理しない、僕の生き方ノート […]
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[…] → 手術の詳しい体験談はこちら:「頭蓋咽頭腫と診断されるまで」 […]
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